失神
目次
失神とは
失神とは、一時的に脳への血流が不足することで意識を失う状態のことです。突然意識がなくなり、姿勢を保てずに倒れてしまいますが、通常は数秒から数分で自然に意識が回復します。失神の前には、めまい、目の前が暗くなる、冷や汗、吐き気などの前兆症状が現れることもあります。
失神には様々な原因があり、一時的な血圧低下によるものから、不整脈や心臓の病気による命に関わるものまで含まれます。特に注意が必要なのは、心臓が原因の失神です。不整脈により心臓が一時的に血液を送り出せなくなったり、心臓の構造的な異常により十分な血液を脳に送れなくなったりすることで失神が起こります。
失神が起こる原因
失神の原因は大きく分けて、心臓が原因のもの、血圧調節の異常によるもの、脳が原因のものに分類されます。
心臓・血管の病気による失神
不整脈は失神の重要な原因です。心拍数が極端に遅くなる徐脈性不整脈や、心拍数が非常に速くなる頻脈性不整脈により、脳への血流が一時的に途絶えて失神が起こります。これらの不整脈による失神は、前兆なく突然起こることが多く、危険性が高いため、早急な診断と治療が必要です。
血圧調節の異常による失神
起立性低血圧は、立ち上がったときに血圧が急激に下がり、脳への血流が不足して失神やめまいが起こる状態です。特に朝起きたときや、長時間立っていたときに起こりやすく、高齢者や降圧薬を服用している方に多く見られます。
血管迷走神経性失神は、最も一般的なタイプの失神です。強い痛み、恐怖、緊張、長時間の立位、暑い環境などがきっかけとなり、急激に血圧が下がって失神します。採血や注射の際に気分が悪くなって倒れるのも、このタイプです。通常は前兆症状があり、横になれば回復することが多く、心臓の病気による失神に比べて緊急性は低いとされます。
排尿失神や咳嗽失神は、排尿時や咳き込んだときに胸腔内の圧力が変化し、脳への血流が一時的に減少して起こる失神です。
その他の原因
低血糖では、脳のエネルギー不足により意識を失うことがあります。過呼吸症候群、不安やパニック障害でも、意識消失に似た症状が起こることがあります。脳卒中や一過性脳虚血発作など、脳自体の病気が原因の場合もありますが、これらは厳密には失神とは区別されます。
こんな失神は早めの受診を
特に危険な失神
運動中や労作時に失神が起こる場合は、心臓の病気が原因である可能性が高く、非常に危険です。不整脈や弁膜症、心筋症などが疑われるため、直ちに循環器内科を受診してください。横になっているときや座っているときに失神が起こる場合も、心臓が原因の可能性が高く、注意が必要です。
失神の前後に胸痛、動悸、息切れを伴う場合は、心筋梗塞や不整脈、肺塞栓症などの可能性があります。失神を繰り返す場合、特に短期間に複数回起こる場合は、重大な病気が隠れている可能性があるため、必ず検査を受けましょう。
このような場合も受診をお勧めします
前兆なく突然意識を失った場合、頭を打って怪我をした場合、意識回復後も症状が続く場合(頭痛、吐き気、めまいなど)は、医療機関を受診してください。高齢者の失神、健康診断で心電図異常を指摘された方の失神も、心臓の病気が隠れている可能性があるため、循環器内科での検査をお勧めします。
健診結果について詳しくはこちら失神から考えられる疾患
失神の背景には、様々な心臓の病気が隠れている可能性があります。
不整脈
心臓のリズムが乱れることで、脳への血流が一時的に途絶え、失神が起こります。徐脈性不整脈では心拍数が極端に遅くなり、頻脈性不整脈では心拍数が非常に速くなることで、効率的に血液を送れなくなります。不整脈による失神は前兆なく突然起こることが多く、ペースメーカーやカテーテルアブレーションなどの治療が必要になることがあります。
不整脈について詳しくはこちら弁膜症
大動脈弁狭窄症では、運動時に心臓から十分な血液を送り出せず、失神が起こります。進行すると心不全に至るため、定期的な経過観察と適切なタイミングでの治療が重要です。
弁膜症について詳しくはこちら心筋症
肥大型心筋症や拡張型心筋症などの心筋の病気では、不整脈や心臓のポンプ機能低下により失神が起こることがあります。若い方の運動中の失神や突然死の原因となることがあり、早期発見が重要です。
心筋梗塞・狭心症
心臓の血管が詰まることで、不整脈を引き起こし失神につながることがあります。胸痛を伴うことが多いですが、高齢者や糖尿病のある方では典型的な症状がないこともあります。
狭心症について詳しくはこちら 心筋梗塞について詳しくはこちら当院の失神診療における特徴
不整脈診療に力を入れた専門的な診断
失神の原因として最も重要なのが不整脈です。当院では不整脈専門医が在籍しており、失神の原因となる不整脈を詳しく調べることができます。問診では、失神が起きた状況、前兆の有無、随伴症状、家族歴などを詳しくお聞きし、危険な失神かどうかを評価します。
ホルター心電図検査で不整脈を捉える
失神の原因となる不整脈は、通常の心電図検査では捉えられないことが多くあります。24時間ホルター心電図検査により、日常生活での心臓のリズムを記録し、一時的に起こる不整脈を発見できます。さらに長期間の記録が必要な場合は、携帯型心電計による検査もご提案します。
運動負荷検査で運動時の異常を評価
運動中に失神が起こる場合、運動負荷心電図検査により、運動時の不整脈や心臓の異常を調べることができます。運動負荷心エコー検査と組み合わせることで、弁膜症や心筋症の評価も可能です。
心エコー検査で心臓の構造を評価
高性能な心エコー機器により、弁膜症、心筋症、心臓の機能低下などを詳しく調べます。これらの構造的な異常が失神の原因となっている場合、適切な治療方針を決定します。
検査の詳細についてはこちら失神を予防するために
失神を予防し、再発を防ぐためには、原因に応じた対策が重要です。
起立性低血圧による失神を予防するには、急に立ち上がらず、ゆっくりと動作することが大切です。朝起きるときは、一度座ってから立ち上がるようにしましょう。
血管迷走神経性失神の予防には、長時間の立位を避ける、暑い場所や混雑した場所を避ける、十分な睡眠と水分摂取を心がけることが重要です。前兆症状を感じたら、すぐに座るか横になりましょう。
不整脈や心臓の病気が原因の場合は、医師の指示に従って薬を服用し、定期的に通院することが最も重要です。処方された薬を自己判断で中止しないでください。
生活習慣病の管理も失神予防につながります。高血圧、糖尿病、脂質異常症を適切にコントロールすることで、動脈硬化の進行を防ぎ、心臓病のリスクを減らします。
よくあるご質問(FAQ)
失神とてんかんの違いは何ですか?
失神は脳への血流不足により一時的に意識を失う状態で、通常は数秒から数分で自然に回復します。てんかんは脳の異常な電気活動により起こる発作で、けいれんを伴うことが多く、発作後に意識がもうろうとした状態が続くことがあります。診断には神経内科での検査が必要な場合もあります。
失神で受診する際、何を伝えればよいですか?
いつ、どのような状況で失神したか(運動中、立位、座位、横になっているときなど)、前兆症状の有無、意識がなかった時間、意識回復後の状態、随伴症状(胸痛、動悸、けいれんなど)、失神の回数、家族歴などをお伝えください。
失神の検査はどのようなものですか?
まず心電図検査で不整脈の有無を調べます。必要に応じて24時間ホルター心電図検査、運動負荷心電図検査、心エコー検査、採血検査などを行います。検査の組み合わせは、問診で得られた情報から、最も可能性の高い原因を想定して決定します。
一度失神しただけでも受診すべきですか?
はい、一度だけでも受診をお勧めします。特に運動中の失神、前兆なく突然起こった失神、胸痛や動悸を伴う失神、高齢者の失神は、心臓の病気が隠れている可能性があるため、必ず循環器内科を受診してください。
失神の家族歴がありますが、注意すべきことはありますか?
家族に若くして突然死や原因不明の失神を繰り返した方がいる場合、遺伝性の不整脈や心筋症のリスクがあります。失神が起きた場合は必ず受診し、定期的な心電図検査やエコー検査を受けることをお勧めします。
失神でお悩みの方は、亀戸ハート内科・心臓リハビリクリニックまでお気軽にご相談ください。循環器専門医が不整脈診療に力を入れており、ホルター心電図検査や心エコー検査で原因を詳しく調べます。土日診療も実施しておりますので、ご都合に合わせて受診していただけます。